シュタイン教育教材制作のe-waldorfから、シュタイナー教育の話題をお届けしています。
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2012.7.9

シュタイナー学校のクラフト
子どもの体験/指導者の姿勢
 
 
今日は、クラフトのことを題材に、それを教える先生の在り方について記事を書こうと思います。
 
シュタイナー学校でのクラフトは、木工、金工、手芸など色々ありますが、手を使って、手も心も頭も、総合的に育てます。作業のプロセスから、その体験を通して学んでいきます。
 
「体験」というのは、作品を仕上げるまでの段階に限ったことではないと思います。出来上がった作品を誇りに思う、それを作り上げた自分のことを誇りに思う・・・その気持ちは子ども達を成長させます。心を輝かせ力を与えます。そして、実用的な作品を仕上げた後は、それを実際に使うところもとても大事な体験です。自分の作ったものが実際に役にたつのだと実感することは、最高に嬉しいことです。そして、その作品を大事にに手入れしながら使うことも。
 
授業が終ったらおしまいではない、ずっと続いて育っていく体験です。
 
いくつか、作品を紹介しますね。辛口かもしれないけれど、残念な作品例です。
 

木工作品ースプーン 


こちらは、木工の作品。5年生で作る木のスプーンです。とても丁寧に形を彫ってあり、形が整っています。仕上げのやすりも心を込めて忍耐強くかけたことが写真からわかります。子どもはさぞかし頑張って作業をしたことでしょう。木工は忍耐力も集中力も技術もいる、大変な作業です。それをやりとげ、出来上がった作品に、そして、自分がこれを作ったんだという自負に、心を踊らせたことでしょう。
 
でも、これは目を覆いたくなる失敗です。子どもの失敗ではなくて、先生の無知による失敗です。・・・このスプーン、使ったら速攻で割れてしまいます。スプーンで何かをすくったら、重みで木目のところからピシッと・・・。実際に使えるスプーンにするには、木目がスプーンを強くするように、木目を生かしながら形を作るのです。木目を無視して作っては、実用に耐える「道具」にはなりません。
 
スプーンが壊れてしまったら、その時子どもがどんな気持ちになるか・・・・想像できると思います。一生懸命、心をこめて、頑張ってつくったからこそ、そのショックは大きいです。自分の努力と作業に注いだ力さえも自分で否定してしまうかもしれません。
 
先生は木工のプロとして、教師のプロとして、自分の教科、木のこと、木の性質について熟知している必要があります。この場合は、先生は、自分の教科のこと、プロジェクトのことを、十分に分かっていなかった。ちょっと厳しいかもしれないけれど、確実に「先生の失敗」です。
 
 
他のシュタイナー学校で、手仕事の授業を見たときのこと。そこは小さな学校だったので、専任の手仕事の先生ではなく、クラス担任が手仕事を教えていました。先生ご本人も「あまり編み物は得意じゃないの」とおっしゃいます。
 
5年生のクラスで毛糸で靴下を編んでいました。編み物や細かい仕事が得意な男の子が、とても綺麗な揃った編み目で一生懸命仕上げました。でも、編み上がった「靴下」は、お父さんの足でもブカブカなくらいの巨大なものになってしまいました。先生は、ゲージをとるとか、サイズを調節するということを知らず、作り方に書いてあるまま作らせてしまったのでした。
 
大きすぎて、とても使い物にはならない靴下を目の前にして、その男の子は言葉もなく固まっていました。先生の指示通り、一生懸命にやったのです。クラスの誰よりも熱心に作業をして、きれいに早く編み上げたのです。それなのに・・・。
 
靴下は飾り物ではありません。作って、使えるものであることが大事です。その児童だって、編んで実際に履くことを楽しみにしながら頑張ったに違いありません。
 
こどもは一生懸命です。一生懸命だから、それに添う大人も、真剣である必要があります。先生が一生懸命なら、子どももそれに応えて頑張って作業をし、新しいことを学び取り成長します。出来上がったものを、「ねえ、みてみて、ぼくがつくったんだよ」って、自分を誇らしく思いながら親に見せる。そして、自分で作ったものを使う。そこまで、大切なクラフトの体験です。
 
だから、先生の準備不足や勉強不足で、こんなふうに子どもを失望させてしまうことは、とても哀しく残念なことです。一生懸命に頑張った子どもの体験も気持ちも、一瞬のうちに踏みにじってしまうようなことです。
 
うちの息子も同じようなことが最近ありました。学校ではないのですが、シュタイナー学校のクラス担任の経験がある人と一緒にやったプロジェクトでした。
 
それは、木で枠を作って機織り機を作り、その織り機で、羊毛を織るというプロジェクトでした。プロジェクト自体、そのアイデアはいいのです。
 
でも、時間切れで途中やりのものを持ち帰ってきたのを見て、そのプロジェクトの粗雑さにまず私が失望しました。
 
織り機を自分たちで作ったかどうか知らなかったので、織り機のことを聞くと、息子達二人揃って「ぼくのじゃない」といいます。「これ、ゆがんでるよね」と暗い声で言って、織り機のことには触れて欲しくないようでした。私は、木工どころかDIYもアマチュアですが、この釘のうち位置では、頑丈に、木材を止めておくことはできないと思いました。織物も、あまりにも粗雑で、子ども騙しのやり方でした。明らかに、指導者の無知、理解不足でした。
 
あとで、この織り機は子ども達が自分で作ったものだと聞きました。とても一生懸命やっていたそうです。
 
一生懸命作った織り機ですが、「ねえ、ママ、見てみて! 僕が作ったんだよ」と自信をもって見せることができなかった。それどころか「こんな歪んだの僕のじゃない」と言ってしまった子どもの心を思うと辛くなります。
 
「あの、織り機、自分で作ったんだってね」と聞いたら、うつむいて小さく「うん」といいました。そして「あんなのゴミだ」と言うのです。息子は、「夏休みに、パパと一緒に、ちゃんとした織り機を作る。真っ直ぐで、ちゃんと使えるものを作る。縦糸をかける釘の幅が1インチじゃ、ちゃんとした、きっちりとした織物はできないから、もっと幅を細かくしていい織物が作れるような織り機を作る。」と、言いました。
 
息子の体験を、失望で終らせないために、ちゃんと使えて納得できる織り機を一緒に作り、ちゃんと使える織物を夏休みに仕上げるつもりです。
 
指導者がいて、プロジェクトを率いているのなら、どうやったら、ちゃんと織り機がまっすぐになるように釘を打てるかとか、きちんと教えてあげる必要があります。できあがったものが、子どもが誇りに思えるようなもの仕上げられるよう、指導する必要があります。
 
子ども達が一生懸命であるからこそ、指導者も子どもの一生懸命を全身全霊で受け止めて欲しい。そうやって教えてもらったことから、子どもは、学び取り、創造力が育っていきます。
 
上の3つの例は、指導者の無知と力不足による、子どものキラキラした心を失望させてしまった残念な例です。
 
 
 
シュタイナー学校の先生は、歌もうたって、楽器もやって、お話もそらで言えるように暗記して、動きもできなきゃいけないし、黒板絵も描いて、ぬらし絵も書いて・・・さまざまな手仕事や工作もして・・・。ほんと、大変です。どの先生だって得手不得手があるし。
 
専門分野/得意分野を教えていたって、いつも完璧は無理。反省点はつきません。鍛錬あるのみ。
 
でも、それを認めた上でも、やっぱり、子どもの一生懸命に対して、子ども騙しの指導をして失望させるようなことをするのは罪だと思います。
 
授業その場だけの子どもの頑張りだけを見て満足するのではなく、子どもが育つということ、作品を仕上げたあとも続く、心のきらめきと成長を、しっかり胸に刻み込んで子どもに真剣に向き合いたい、向き合って欲しいと思います。
 
 
 
数年前、シュタイナー学校卒業生の卒業50周年の同窓会に出くわしたことがあります。70歳近い皆さんが、幼稚園から高校までともに学んだ仲間たちと、童心にかえって学校の想い出話にふけっていました。そして「木工の時間に作ったスプーン、まだ持ってるよ」「私は、自分で彫った木のボウル、まだ使っているわよ」と目を輝かせていいました。子どもの頃に作った作品を、大事に使い続けている。心をこめて作った作品と、そのときの体験と気持ちは、50年以上もたった今でも、まだまだキラキラと生きていて、今でも誇りに思っている。
 
本当に、すてきな学びをしたんですね。
そこまでできたら、理想です。
 
シュタイナー学校は、そんな素敵な学びを子ども達にさせてあげることができる、すてきな環境です。いつもというのは難しいかもしれないけれど、そんな素敵な学びを子どもができるように目指していきたい。子どもを教える先生方、一緒にめざしていきましょう。子どもと真剣に向き合ってつねに自分を向上させるように努力していきましょう。私も心して取り組みます。

こどもに、素晴らしい体験を!!
・・・そして、子ども達のパッと輝く顔、キラキラした瞳が、わたしたち教師への最高のご褒美です♪ 
 
 
 
 
 
 
 

サマープログラム2012
サマー
オンライン
プログラム2012
夏のシュタイナー教育。
感性を磨いて成長する夏。


e-waldorf オンライン・ワークショップの4つのプログラム「アート・クラフト・プログラム」「さんすう教室」「えいご教室」「数学教室 infinity」から、夏休み用にいくつかのレッスン、アクティビティ、エクササイズを選りすぐってまとめました。2ヶ月間、好きなだけ受講できます。

ぬらし絵
粘土造形
フォルメン
ネイチャークラフト
ウッドワーク
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四則演算の導入のお話
暗算エクササイズ
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