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2012年7月25日(水)
環境エネルギー政策研究所 プレスリリース

電力システム改革専門委員会
「電力システム改革の基本方針」への意見書


■ 概要

経済産業省「電力システム改革専門委員会」(以下、本委員会という)において議論されてきた「電力システム改革の基本方針」が7月23日に公表された。今回の電力システム改革の基本方針は、下記のように非常に重要な方向性と具体的手法を掲げており、画期的な方針であると評価できる。
  • 小売全面自由化(地域独占の撤廃)
  • 発送電分離(送配電部門の絶対的中立性・公平性の確保)
  • 送配電部門の「広域性」の確保
  • 「節電(需要抑制)」の供給電源化
  • 発電の全面自由化(卸規制の撤廃)
  • 卸電力市場の活性化
  • 「電力」の枠を越えたエネルギーサービスの融合化・ボーダレス化
  • 託送制度の見直し、計画値同時同量の導入
しかしながら、今後の議論の方向性を誤らぬよう、この基本方針に対して以下の事項について早急な見直しを要望する。
  1. 本委員会で示された方向性と手法の峻別
  2. 「送配電部門の分離」の多面的検討
  3. 大規模電源依存からの脱却
  4. 新電力の電源確保と競争促進
  5. 地域間連系線等の強化(設備増強と運用見直し)
  6. 詳細設計へ向けた十分な議論
  7. 電力システム改革の着実な前進
各論点についての詳細は下記の通り。
 

1. 本委員会で示された方向性と手法の峻別

この基本方針では、中長期的な方向性を示すものと、具体的な手法や速やかに着手・短期的に達成すべき内容の記述が混在している。読む者に誤解を与えぬよう、本委員会で合意選択された結論と、その目的達成のための手段を分かりやすく区別記述すべきである。
例えば「予備力確保」に関しては、小売事業者に供給予備力の確保を義務づけることや、「容量市場」の創設が断定的な表現で記述されているが(これらは米国のPJM型である※)、送配電事業者に予備力確保義務を課す欧州の事例などもあるため、各手法の得失について十分な検討が行われていない現段階で特定の手法に限定すべきではない。同じく基本方針案では、「広域系統運用機関」が1時間前市場等の市場運営も行う、としていたが、これもPJM型であり、欧州・北欧では系統運用者と時間前市場運用者は異なる。
PJMは発送電分離形態としてISO型(機能分離型)を採っているが、本方針がISO型を推奨しているかのような誤解を与えるべきではない。

※ 米国東部のRTO(ISO:独立系統運用者を広域化した地域送電機関)の通称。

2. 「送配電部門の分離」の多面的検討

基本方針では、発送電分離が、送配電部門の中立化としての「送配電部門の分離」にとどまっている。一層の競争促進と選択肢確保のため、「発電部門」と「小売部門」の分離も方針として示すべきである。

3. 大規模電源依存からの脱却

「産業群は、引き続き大規模電源が生み出す低廉かつ安定的な電力供給を必要とする」との記述は旧来的観念である。大規模電源による電力が安価であるかどうか、少数の大規模電源に依存する電力システムが安定的であるかどうかを不断に検証し、柔軟な供給力・供給予備力の確保を方針として示すべきである。

4. 新電力の電源確保と競争促進

「部分供給」のルール化、常時バックアップ料金の見直しによっても、一定期間内に新電力の電源確保と競争促進が進まなかった場合には、速やかに仮想発電設備(VPP)制度を導入することを方針として示すべきである。

5. 地域間連系線等の強化(設備増強と運用見直し)

本委員会では未だオーソライズされていない「地域間連系線等の強化に関するマスタープラン研究会」中間報告書と同様に、地域間連系線や地内系統の増強計画が充分ではない。よって、この基本方針で例示された連系線や周波数変換装置(FC)以外も含め、さらには国際連系の実現も含め、抜本的な送電設備の増強と運用見直しを方針として示すべきである。

6. 詳細設計へ向けた十分な議論

電力システム改革の実現にあたり、本委員会では時間的制約のためにほとんど議論されていない重要な論点が多数ある。この基本方針で挙げられた論点については「年内を目処に詳細設計を行う」とされているが、それ以外の論点についても、公開の場で十分詳細な議論を行うことを示すべきである。

7. 電力システム改革の着実な前進

電力システム改革の重要性はこの基本方針に十分記述されている。この改革を決して逆行させぬよう、来年度内の法制化を前提とした中立的第三者による透明、公正な議論と同時に、現行法の中でも直ちに実現可能であるシステム改革を事業者は着実に実現することを望む。


■ このプレスリリースに関するお問い合わせ

特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)

E-mail: info01@isep.or.jp

URL: http://www.isep.or.jp/

TEL: 03-6382-6061

FAX: 03-6382-6062 

担当:船津

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