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2011年8月12日(金)
環境エネルギー政策研究所 ニュース

FIT法案の審議プロセス 7


FIT法案の審議プロセス報告

自然エネルギーの普及に向けて審議内容が注目される再生可能エネルギー買取法案(FIT法案)について、7月14日から衆議院本会議での審議、15日から衆議院経済産業委員会における議論が始まっています。これまでに4回の審議と参考人質疑が行われています。ISEPではこの審議プロセスを追い、皆様に状況を共有し必要なアクションを取っていきます。今回は経産、環境、農水による連合審査会とその後行われた経済産業委員会の報告を行います。


1-1. 連合審査会の質疑要旨

連合審査会での質疑者は、田島一成(民主党)、井上信治(自民党)、谷公一(自民党)、江田康幸(公明党)、吉井英勝(日本共産党)、吉泉秀男(社民党)、柿澤未途(みんなの党)の各議員である。
 
(1)   導入目標・導入ポテンシャル
導入目標・導入ポテンシャルに関しては田島議員、吉井議員から質疑があった。田島議員は現状および2020年、2030年の経産省目標における各再生可能エネルギー導入目標について質疑した。それに関して海江田大臣からは現状8.5%(2009年)で、2020年に12.5%、2030年に20%にするという目標(大規模水力を含む)が改めて示された。2020年時での内訳は太陽光2.5%、陸上風力0.7%、中小水力0.2%、地熱0.3%、バイオマス0.3%であり、洋上風力などは含まれていない。吉井議員からは再生可能エネルギーの発電ポテンシャルについて質疑があり、ポテンシャルの上では再生可能エネルギーで十分まかなうことができることが示された。
 
(2)   買取価格・期間設定/賦課金上限/国会の関与
買取価格や買取期間について、田島議員、谷議員、吉井議員、吉泉議員から質疑があった。やはり全量買取制度の根幹であるゆえに、各党の議員が質疑した。田島議員は農水省および環境省の全量買取制度や買取価格に対する立場について質疑した。これに対して農水省からは「農山漁村の再生を図りたい」(鹿野農水大臣)、「バイオマスを儲かる事業に」「最大限の買取価格と期間をお願いしたい」(筒井農水副大臣)とあるように農水省は積極的であるといえる。また江田環境大臣からは、地球温暖化やエネルギー安全保障などの観点からも重要で国際的に見ても再生可能エネルギーを普及させる固定価格買取制度は導入されている、新規投資や参入を促進すべきだという前向きな発言が聞かれた。
 
農水省や環境省が積極的である一方で海江田大臣の答弁は一律価格や賦課金0.5円/kWhを超えないようにする「キャップ」に固執している。一律価格については谷議員、吉井議員、吉泉議員から、キャップについては吉泉議員から質疑があった。3議員は農山漁村や地域の振興の観点などからエネルギー源・規模別ごと、あるいは地域ごとに買取価格の差をつけるべきだとした。
 
加えて吉井議員からは7月14日の本会議における海江田大臣答弁にあった「0.5円の賦課金(サーチャージ)上限」について質疑があった。これについては再生可能エネルギーの導入が2020年までに4%しか増えないことが指摘され、大きな制度的・運用的欠陥を生むとされている。これについて海江田大臣は「考えは変えていない」「電気料金に上乗せするのだから国民負担が増える」という従来通りの答弁が繰り返された。
 
(3)   国民負担
国民負担、電力多消費産業への減免などについては井上議員、江田議員から質疑があった。井上議員の質疑に対して海江田大臣は、特定の産業に対して減免すると不公平感が出るという前提をもとにして以下のように述べた。「再生可能エネルギー投資へのインセンティブと国民負担を考えてこの賦課金総額を決めている」「買取価格は毎年見直すこととし、3年ごとに見直し、2020年に廃止する」とした。
 
江田議員は電力多消費産業、中小企業、低所得者の減免に加えて、現在の化石燃料の高騰に伴う燃料費調整制度の値上がりについても質疑した。燃料費調整制度による過去5年間での値上がり幅と2020年に予想される値上がり幅を質疑したところ、政府参考人の細野資源エネルギー庁長官は過去5年間で900円、2020年には現状より600円値上がりすると答弁した。よって150円のサーチャージ総額よりも大きく上回り、再生可能エネルギーの普及によって相殺できるのではないかと江田議員は述べた。
 
(4)   優先接続
優先接続については江田議員、吉泉議員から質疑があった。江田議員は「およれ」については一般電気事業者(電力会社)の恣意によって拒否できるともとらえかねないとしてこの条項を削除するべきだとした。それに対して中山経済産業政務官は、「この拒否できる場合を虚偽の報告である場合、あるいは電圧(や周波数)の変動に対処しなかった場合」として「削除するのはどうかと思う」と述べた。一方で「議論の余地はある」と述べた。吉泉議員にも同様の答弁をした。
 
(5)   その他
・ 地球温暖化対策(2020年までにCO2の25%削減)との整合性
井上議員が2020年までに二酸化炭素排出量25%削減という鳩山政権からの政府目標について原子力なしでは達成は不可能で撤回するように江田環境大臣に対して質疑を行った。江田大臣は「原子力がないと確かに厳しいが、再生可能エネルギー導入と省エネへの関心が国民の間でも高まっており、これらを総動員して達成したい。撤回はない。」と述べた。
 
・ バイオマスの買取対象
バイオマスについては自民党の谷議員とみんなの党の柿澤議員から質疑があった。まず谷議員からは新設と既設の区分および国産材と外材の扱いについての質疑があった。これに対し中山政務官、安井新エネルギー部部長、海江田大臣は、「施設」が既設であっても、「燃料」が新規のものは対象に含むとした。またバイオマスの外材/国産材の扱いについて鹿野農水大臣は「関係各所に働きかけたい」とする一方、海江田大臣は「考慮したい」と対応が分かれた。柿澤議員は廃棄物発電を含むかどうかについて質疑を行った。江田環境大臣は「含まれると考えている」と述べた。
 
その他にも全量買取制度に関わる質疑として以下のようなものがあった。
・ 風力発電機に対する環境アセスメント
・ 系統安定化対策
・ 発送電分離と電力自由化
・ 補助金と減税
・ 研究開発


1-2. 連合審査会の総括

経済産業委員会単独に比べて議論自体は引き締まっていたと考える。多くの議員から費用負担最小化の観点からの「一律価格」や「賦課金0.5円/kWhの買取上限」は問題であると指摘している。海江田大臣や経産省にエールを送ることすらあった経済産業委員会とは全く違う。
 
一方で、法案の衆議院提出が間際であると報道されていることを考えれば議論がかなり生ぬるいといわざるを得ない。総合エネルギー政策特命委員会(山本一太委員会)で自民党の試案は出されたが、未だに国会の中で議題として上がっていない。すなわち修正協議をして国会での決定として、どのような制度にしてくるのかまだ表に出ていない。問題といわざるを得ない。
 
気がかりなことは、井上議員の質問に対しての海江田大臣答弁である。海江田大臣は今までのように2020年に廃止を含めて検討するではなく、2020年に一度廃止すると述べた。2020年には現在の経産省の目標で行くと再生可能エネルギーは4%しか増えない。その上、大きく太陽光に偏重している。これで再生可能エネルギー全体が普及したというのは大きな間違いである。再生可能エネルギーの導入目標やそのための買取価格の設定などをしっかり規定するべきだ。

2-1. 経済産業委員会:近藤洋介議員の質疑


連合審査会のすぐ後の委員会では、民主党近藤洋介議員の質疑のみが行われた。近藤議員の質疑は(1)蓄電池の技術開発、(2)北本連携線を含めた系統の整備とその費用負担、(3)優先接続、(4)発送電分離と電力自由化、(5)買取価格の見直しと制度そのものの見直しであった。(1)〜(3)は今までの審議と同様の審議であった。(4)については近藤洋介議員と細野エネルギー庁長官はエネルギーの安定供給やエネルギーそのものは「近視眼的ではいけない」として発送電分離は性急に決めるべきではないという認識で一致した。(5)で制度の見直しについて細野長官は、「少なくとも」三年ごとなので三年以内の見直しがあり得るとした。



2-2. 近藤洋介議員の質疑に関して

30分の審議を行った理由がさっぱり分からない。建設的な議論でもなく、かつその前に行われている連合審査会の意見が反映されているとは全くいえない。系統への接続義務については言及があったものの、最も多く指摘があった買取価格をエネルギー源ごとなどに設定するか、一律にするかという重要な論点は述べられることがなかった。また、電力自由化や発送電分離について否定的な見解が示されたことは再生可能エネルギー導入拡大にとって、あるいはエネルギー政策の見直しにとって、極めて残念だといわざるを得ない。
 
(執筆者:山下・道満)

3. 今後の予定

次回の委員会日程はまだ未定
※傍聴に際しては、衆議院議員を通じて経済産業委員会委員長の許可を受ける必要があります。


4. 今後の予定

次回ニュースは第六回の経済産業委員会での審議内容について、委員会当日の配信を予定しております。
 

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