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2011年9月1日(木)
環境エネルギー政策研究所 ニュース

FIT法案の審議プロセス 10


FIT法案の審議プロセス報告

自然エネルギーの普及に向けて審議内容が注目される再生可能エネルギー買取法案(FIT法案)について、7月14日から衆議院本会議、15日から衆議院経済産業委員会において審議入りし議論が重ねられてきました。民主・自民・公明の三党による修正案が出され、8月23日に修正された法案が衆議院を通過しました。その直後の8月24日からから始まった参議院での審議プロセスについて、25日の委員会審議について引き続きご報告します。今回のFIT法案をめぐり、ISEPではその国会での審議プロセスを追い、皆様に状況を共有し、必要なアクションを取っています。


1-1. 参議院経産・農水・環境委員会による連合審査

参議院経産・農水・環境の各委員会による連合審査会が行われ、松浦大吾議員(民主党)、川口順子議員、福岡資麿議員(以上自民党)、加藤修一議員、横山信一議員(以上公明党)、水野賢一議員(みんなの党)、紙智子議員(共産党)、亀井亜紀子議員(国民新党)、吉田忠智議員(社民党)による質疑が行われた。
 
<既存設備への経過措置>
川口議員、加藤議員
川口議員からはRPS法における既存の設備について、海江田大臣とのやり取りがあった。海江田大臣は、本制度は新設が中心であり、以前の事業はRPS制度の枠の中で行うこととすると答弁した。また補助金返還後の既存の設備のFITへの乗り換えについては、今後制度を動かしながら検討すると答えた。

加藤議員はバイオマスの既存施設の買取対象についての質疑を行った。海江田大臣は新たな「燃料」であれば対象になるとした。鹿野農水大臣は既設についても支援していきたいとした。
 
<電力多消費産業への減免の基準の明確化>
加藤議員、水野議員、亀井議員
加藤議員、水野議員、亀井議員は電力多消費産業への減免措置について基準を明確化するように求めた。特に水野議員は先日の本会議でも触れたように、質問時間を目一杯使って8倍の基準の根拠を修正案提出者および政府に問いただした。修正案提出者は経団連の資料に基づく値だし、省エネ法に基づく調査も公表されることが望ましいとした。一方、海江田大臣はできる限りこれらの数字を公表できるようにしたいと先日の答弁からは一歩前進が見られた。
 
<調達価格等算定委員会に関して>
福岡議員、亀井議員、吉田議員
福岡議員から調達価格等算定委員会の開催時期が遅く、これでは導入が遅れるのではないかという指摘があった。

亀井議員からは買取価格を調達価格等算定委員会についての経緯および総括原価方式を含めた電気料金とのかねあわせについて質疑があった。これに対して西村議員は「買取価格を高くしすぎると過剰な利益が出たり国民負担が増大する一方で、低すぎると普及が進まない。適正な価格を決める」とするとし、また「買取制度によって電力料金そのものが変わる訳ではない」と述べた。

一方で吉田議員は今まで再生可能エネルギー導入を阻害していた経済産業省の審議会の委員が調達価格等算定委員会の委員にならないように釘を刺した。
 
<バイオマス・農業と再生可能エネルギー>
松浦議員、福岡議員、加藤議員、吉田議員
松浦議員および福岡議員からは再生可能エネルギー設備の設置の際の耕作放棄地利用について質疑があった。鹿野大臣からは食糧自給率など食糧政策を十分に配慮した上で進めていきたいとした。

また、福岡議員からは続けて、がれきをバイオマスエネルギーに転換する取り組みに関する質疑があり、鹿野大臣からは9月までを目処に調査を終わらせたいとした。
 
<水力発電の範囲>
川口議員
川口議員からは水力発電の範囲について、現行のRPS法では1000kWが対象なのにも関わらず、なぜ30000kWまで対象にしたのかという質疑があった。また中規模水力の多くは電力会社が所有し、環境破壊の側面も否定できないとした。これに対して海江田大臣は再エネをできる限り多く導入する観点からこのようにしたと述べた。これに対して川口議員は再度電力会社を支援する必要はあるのかと答弁を求めたが、海江田大臣から明確な答弁はなかった。
 
<その他>
・接続義務について(紙議員)
・規制緩和について(横山議員)
・電気料金の上昇に関して(亀井議員)
・発送電分離について(吉田議員)
・泊原発再稼働について(紙議員)
 

1-2. 午前の連合審査会に関しての執筆者コメント

連合審査会に関しては今までの委員会審議で出なかった論点が数多く出たと考えられ、農業の観点からの質疑が多かったように思える。また再生可能エネルギー政策に今まで関わっていた川口議員や加藤議員などからの質疑もあったため、割と細部にまで触れていたと思われる(例えば川口議員のRPS制度と既存設備に関する質疑など)。
 

2-1. 参議院経済産業委員会審議 ー 質疑に関して

午後に参議院経済産業委員会において審議および採決が行われ、可決された。質疑者は姫井由美子議員(民主党)、藤原正司議員(民主党)、松村祥史議員(自由民主党)、末松信介議員(自由民主党)、牧野たかお議員(自民党)松あきら議員(公明党)、松田公太議員(みんなの党)、荒井広幸議員(たちあがれ日本・新党改革)である。
 
<FIT法案以外>
この委員会の最後で採決がなされるにも関わらず、以下の質問は法案に直接関係のないものであった。
・エネルギー基本計画(藤原議員、松村議員)
・原子力問題および原子力賠償機構法など(松村議員、牧野議員、荒井議員)
・温暖化対策の見直し(藤原議員、荒井議員)
 
<電力多消費産業への減免・国民や企業の負担>
藤原議員、松議員、松田議員
藤原議員、松議員は電力多消費産業および国民負担が増大することを批判し、松議員は減免措置の導入を、藤原議員は買取価格を一律にすること(後述)を求めた。

逆に松田議員は電力多消費産業への負担軽減措置の撤廃を求め、午前中の連合審査会における水野議員の指摘のようにその根拠となる情報の開示等を海江田大臣および修正案提出者に求めた。
 
<買取価格>
藤原議員
藤原議員は一律価格の方が再生可能エネルギー間の競争原理が働くとして、それに足りない部分は他の予算と組み合わせて行えばよいと述べた。それに対して後藤衆議院議員は「地域性を重視しながら、再生可能エネルギーを普及する際にいかに効率的に入れていくかを担保するために「設置の形態及び規模ごと」という言葉を入れると同時に、「国民負担が過重にならないように」という文言を入れることで与野党合意した」と答弁した。
 
<既存の小水力発電への支援>
姫井議員
姫井議員は既存の小水力発電が売電単価9円であり、中四国地方53のうち半数が赤字であることに触れ、新設の設置に加え、既存の発電所の修理や設備の更新への支援がどのように行われるのか質疑した。これに対して農水省は新設の小水力発電に加えて、既存施設への支援も行っていると答弁した。加えて調査・設計、河川法についての協議、技術開発などを行っていくとした。
 
<国産品・品質基準>
末松議員、松議員
スペインにおいて買取価格を引き上げた際に中国製の安い太陽光パネルが市場の多くを占めたことに対して、末松議員および松議員から粗悪な海外製品が入らないように品質基準の設置を求めた。加えて松議員はこうした製品への罰則も求めた。
 
<系統接続>
松田議員
再生可能エネルギーの接続拒否に関して電力会社が恣意的な拒否ができないように第5条2項にある「電力の安定供給に支障を生じるおそれがある場合」の部分の削除及び基準の明確化を再三求めた。
 
<その他>
・自然エネルギー市民ファンドへの支援に関して(姫井議員)
・海洋発電(潮力・波力)について(姫井議員)
・国民への周知(藤原議員、松田議員)

2-2. 午後の委員会審議・採決に関しての執筆者コメント

この最後の委員会での全量買取制度に関する審議は「実質30分」であり、単なる消化試合と化してしまったのは否めない。結果的に自然エネルギーの普及に向けてどういう方策が必要なのか、建設的な議論を行ったのは姫井議員と松田議員のみであった。

この参議院の委員会での審議が「衆議院以上に」負担論を中心とした議論となったことは残念だった。一方で、衆議院で修正協議が行われ、三党で合意したのにも関わらず、藤原議員は圧倒的に普及効果に乏しい一律価格の話を再度ぶり返したことは首を傾げざるを得ない。また末松議員は「FITは社会主義と同じ」という発言まで行っているのは制度の内容に対する不見識と考えざるを得ない。

会期末かつ首相退陣直前ということもあり、国会全体が政局に明け暮れ、実質的な審議を置き去りにされたことは残念であったが、少ないながらも衆議院での内容を踏まえた踏み込んだ議論が行われたことは評価したい。
 
(執筆者:山下・道満・松原)


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