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2011年8月31日(水)
環境エネルギー政策研究所 ニュース

FIT法案の審議プロセス 9


FIT法案の審議プロセス報告

自然エネルギーの普及に向けて審議内容が注目される再生可能エネルギー買取法案(FIT法案)について、7月14日から衆議院本会議、15日から衆議院経済産業委員会において審議入りし議論が重ねられてきました。民主・自民・公明の三党による修正案が出され、8月23日に修正された法案が衆議院を通過しました。その直後の8月24日からから始まった参議院での審議プロセスについて今回はご報告します。今回のFIT法案をめぐり、ISEPではその国会での審議プロセスを追い、皆様に状況を共有し、必要なアクションを取っています。


1-1. 参議院本会議の質疑に関して

8月24日の参議院本会議では友近議員(民主党)、関口議員(自民党)、魚住議員(公明党)、水野議員(みんなの党)が質疑を行った。ヤジがかなり飛び交っていたが、多くは海江田大臣の不誠実な答弁に対してであった。以下各論点別に整理したい。
 
<買取価格・期間>
友近議員、(魚住議員)、水野議員
買取価格・期間について友近議員からは政府原案及び衆議院修正案における経緯の説明が求められた。これに対して海江田大臣は投資回収だけを考慮した一律価格から一定程度利潤を考慮したエネルギー源、規模ごとによる買取にすることと変更になったことを述べた。また水野議員からも同様の言及があった。
 
<電力多消費産業への減免、国民や企業の負担、賦課金0.5円/kWh上限>
友近議員、関口議員、魚住議員、水野議員
関口議員からは電力多消費型産業や低所得者、被災者への軽減を再度求めた。一方で水野議員からは電力多消費産業への優遇は一部の産業への優遇につながるため、この規定は即除するように求めた。同時に双方は海江田大臣へ軽減対象となる事業所数を明らかにするように求めたが、これから調査すると述べるに留まった。さらに水野議員はこの多消費産業の基準について、電力多消費事業所が省エネ法で届け出義務があり、情報公開法の対象であるのになぜ公開しないのか海江田大臣に対して強く公開を求めた。海江田大臣は裁判で係争中であるとして言及を避けた。

友近議員と魚住議員は賦課金0.5円/kWh上限について言及した。友近議員に対して海江田大臣はこの賦課金上限は国民負担軽減の観点についてであったため、軽減措置が盛り込まれた時点で行う予定にはないとした。また魚住議員に対しては2020年における導入量にたいする負担額が賦課金0.5円/kWhのときに総額4900億円を超えるため、国民負担が増えると述べた。
 
<系統接続>
水野議員
第5条2項における「電力の安定供給に支障を生じるおそれ」の部分の削除を求めると同時にこの具体的な運用は政令で決めることについて、電力会社に経産省の官僚が天下りが行われていることから、国会で「電力会社の恣意によって拒否できない」と答弁があったことを信用できないと述べた。
 
<太陽光余剰電力買取制度>
関口議員
なぜ太陽光余剰電力買取制度を継続するのか関口議員が海江田大臣にただした。海江田大臣は負担軽減、省エネインセンティブ、配線変更の必要性などの事由から継続することとしたと述べた。
 
<自然エネルギーに関する規制緩和>
関口議員、水野議員
関口議員は自然エネルギーへの新規参入に際して権利関係(例えば既存の水利権など)や規制緩和を求めた。これに対して海江田大臣は昨年から行われた規制制度改革においてこうした条項を盛り込んでいるとし、また土地利用や規制の見直しを行いたいとした。一方で水野議員は特に風力にかかる建築基準法について緩和を求めた。大畠国土交通大臣は建築物の安全性は重要だとしながらも、合理化を図れるところは検討していきたいとした。
 
<発送電分離>
関口議員、水野議員
関口議員と水野議員が発送電分離および電力自由化について言及した。海江田大臣はエネルギー環境会議による「『革新的エネルギー・環境戦略』策定に向けた中間的な整理」において発送電分離などの可能性について触れられていることに言及した。
 
<その他>
附則7条の集中導入期間について(水野議員)
電気料金と総括原価方式について(関口議員、水野議員)
京都議定書の温室効果ガス削減目標とCO2削減25%(関口議員)
エネルギー基本計画の見直し(友近議員、関口議員、魚住議員)
自然エネルギー熱分野への応用(水野議員)
原子力安全庁について(関口議員)
泊原子力発電所再稼働について(関口議員)


1-2. 参議院本会議の質疑に関しての執筆者コメント

冒頭でも触れたがヤジが多く飛び交っていたが、これは海江田大臣の不誠実な姿勢や質疑に対して適切な答弁でなかったことによる。例えば、修正協議があったとはいえ、導入目標や負担総額などの数字が示されないことや検討中、あるいは「これから余談なく議論する」というものばかりだ。


2-1. 参議院経済産業委員会審議の質疑に関して

8月24日午後に参議院経済産業委員会において審議が行われた。海江田大臣の趣旨説明、橘慶一郎議員の修正案趣旨の説明の後、質疑が行われた。質疑者は磯崎仁彦議員(自民党)、若林健太議員(自民党)、松あきら議員(公明党)、松田公太議員(みんなの党)、荒井広幸議員(たちあがれ日本・新党改革)である。
 
<買取価格>
若林議員、松議員
買取価格に関しては若林議員、松議員から質疑があった。若林議員からは適正な利潤についてどのようなことを勘案しているのかについて修正案提出者に質疑があった。橘衆議院議員からは「利潤を重視しすぎると負担が増大する一方で、低すぎると普及が進まない。バランスをとることを前提に海外の事例を見ながら決定していきたい」とした。

松議員からは電源種・規模ごとによる買取価格の設定が行われる一方で、地域ごとの価格の設定はないのかという質疑があった。修正案提出者の佐藤茂樹衆議院議員は「欧州では地域ごとによる設定があるが、今現在は考えていない。現在調査中で見直しも考えられる」とした。
 
<国民負担・電力多消費産業等への軽減>
磯崎議員、若林議員、松議員、松田議員、荒井議員
国民負担および電力多消費産業への軽減の観点から磯崎議員、松議員から、それを撤廃・批判する立場から松田議員から質疑があった。三議員は負担の軽減対象となる基準についてなぜ製造業の平均単位使用電力量の八倍なのかあるいは軽減が100分の80を下らないような値で軽減するのかなどについて修正案提出者に質疑した。これに対して修正案提出者からは政策判断で8倍となったと答弁した。松田議員からは午前中の本会議における水野議員の質疑に続いて、この基準を策定するためにも省エネ法に基づく情報開示をすべきだと海江田大臣に質疑した。海江田大臣は最高裁係争中だとして明言を避けた。

若林議員からは減免措置分の穴埋めをどこから行うのかという質疑が修正案提出者に行われた。西村衆議院議員は石油石炭税や電源開発促進税などを当てるとした。また導入が検討されている地球温暖化対策税の利用については各党で見解が分かれたとした。
 
<調達価格等算定委員会について>
松議員、荒井議員
松議員、荒井議員からは調達価格等算定委員会について質疑があった。松議員からはまず同意人事について質疑があり、これについては三党合意では政局にしないと言うことが合意なされたことが明らかになった。また調達価格等算定委員会で適正な価格の策定が行われるのかという質疑があった。佐藤議員は、「ドイツからのアドバイスとして二、三の研究所に買取価格の鑑定を依頼すべきだとされた。一方で日本は国会の同意人事で決定される第三者委員会で行い、その後に他の複数の研究機関に鑑定を依頼して算定する予定だ」とした。

荒井議員からは国民負担の観点から消費者の代表者を委員に入れるべきだとした。これに対して佐藤衆議院議員は「法案33条において『電気事業および経済について専門性を有するもの』としているが生活者としての観点も重要になる。また消費者担当大臣が関与するのもこうした立場からだ」と述べた。
 
<その他>
・原子力に関して(若林議員、松田議員、荒井議員)
・発送電分離・電力自由化(松田議員)
・系統安定化対策(若林議員)
・見直し規定について(若林議員)
・地球温暖化対策の見直し(磯崎議員)
・FIT以外の施策(税など)について(若林議員、松議員)

2-2. 参議院経済産業委員会審議の質疑に関しての執筆者のコメント

衆議院の委員会での最初の頃の審議に比べれば、比較的よかったように思える。一方で衆議院の修正を受けて、法案が大きく変わったところは、買取価格、調達価格等算定委員会の設置、電力多消費産業への減免であるが、これらについての質疑が多かったように思える。特に電力多消費産業への減免はこの日質疑を行った議員の多くが求めたのに対して、松田議員がこれの撤廃と基準の明確化を求めた。次の日にしっかり議論していただくことを期待したい。
 
(執筆者:山下・道満)

 

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