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2011年8月24日(土)
環境エネルギー政策研究所 ニュース

FIT法案の審議プロセス 8


FIT法案の審議プロセス報告

自然エネルギーの普及に向けて審議内容が注目される再生可能エネルギー買取法案(FIT法案)について、7月14日から衆議院本会議、15日から衆議院経済産業委員会において審議入りし議論が重ねられてきた。7月29日には参考人質疑が、8月3日には農水、環境、経産の各委員会による連合審査会が行われた。いよいよ23日に衆議院での採決が行われる運びとなった。ISEPではこの審議プロセスを追い、皆様に状況を共有し必要なアクションを取っていきます。


1-1. 衆議院経済産業委員会審議 - 修正案に関して

民主・自民・公明の三党による修正案および共産党、みんなの党のそれぞれから修正案が出された。各修正案の趣旨は以下の通りだが、各党の修正案は根幹の部分はそれほど違わないと考えられる。(その証拠に全会一致で三党修正案が可決されている。)


  1. 三党修正案
    1. 調達価格等算定委員会の設置
    2. 製造業等への減免措置(電力消費が製造業平均の原単位で8倍を超えるような製造業で80%まで減免)
    3. 被災者への減免措置
  1. 共産党修正案
    1. 電源開発促進税や石油石炭税の転用
    2. 総括原価の中身の開示およびそれを考慮した電力料金のあり方の検討
    3. 接続拒否できる場合の明示
  1. みんなの党修正案
    1. 国会への報告義務
    2. 接続拒否(「電力の安定供給に支障を来すおそれ」)の部分の削除
    3. 環境大臣の関与
    4. 発送電分離や電力自由化への言及

1-2. 衆議院経済産業委員会審議 - 質疑に関して

修正案等に関する質疑が自民党谷畑議員、梶山議員、西村議員、公明党稲津議員、共産党吉井議員、みんなの党山内議員から質疑があった。各論点別に整理したい。
 
<接続義務>
梶山議員、稲津議員、吉井議員、山内議員
法案の第5条2項にある「電力の安定供給に支障を来たすおそれ」の文言について、梶山議員、吉井議員および山内議員から質疑があった。特に吉井議員は北海道電力や四国電力の風力発電5%枠について質疑し、例えば北海道電力であれば36万kWで限界なのかを政府にただした。細野資源エネルギー庁長官は「まだ余裕はある」と語り、同時に「系統接続可能量を増やす必要がある」とも述べた。
一方、山内議員からは「電力の安定供給に支障を来たすおそれ」の文言の削除を求めた。またこの再度この接続拒否できる場合を政府に再確認した。これに対して海江田大臣は、拒否できる場合は(1)虚偽の報告があった場合、(2)周波数や電圧の変動対策が不十分な場合とし、この対策をすれば接続できるとした。拒否できる理由は限定的だとも述べた。
 
<買取価格(電源種・規模別)>
西村議員
西村議員は修正案に関してエネルギー源、規模ごとの買取になることについて政府に対して見解を求めた。海江田大臣は(法案は)国会で決めていただいて、それに基づいて粛々とやるだけだと是認した。
 
<電力多消費産業への減免・国民や企業の負担>
谷畑議員、梶山議員、稲津議員、吉井議員、山内議員
谷畑議員からは電力多消費産業への減免について要望があった。梶山議員からはこの電力多消費産業等への減免について大企業、中小企業を問わずかという質疑が修正案提出者の西村議員に対して行われた。西村議員はその通りだと述べた。また会社単位か事業所単位かという質疑に対しては事業所単位と言う見解が示された。
吉井議員からはこの減免対象についての質疑が細野長官および修正案提出者の佐藤茂樹議員(公明党)に対して行われた。特に佐藤議員に対しては減免措置が行われた際の穴埋めをどこから行うかと言う質疑があった。佐藤議員は「政府が支出し、財源は石油石炭税および電源開発促進税になる」と述べた。
 
<電力料金>
梶山議員、稲津議員、吉井議員、山内議員
四議員は日本の電力料金が高いことを指摘した。特に梶山議員は電源構成や置かれた立場が似た韓国と比較して日本の電力料金が異様に高いことを指摘した。それに対して中山政務官は原発の稼働率が高いことと国が電力会社の株を51%持ってバックアップをしていることが大きいと述べた。同時に後者はIEAから改善するように勧告が出ていると続けた。
吉井議員と山内議員は総括原価の中身を開示するように求めた。
 
<その他>
  1. 原子力安全庁について(梶山議員)
  2. 泊原子力発電所再稼働について(稲津議員)
  3. CO2削減25%目標の撤回(西村議員)
  4. エネルギー基本計画の見直し(谷畑議員、西村議員)

1-3. 午前の審議に関しての執筆者コメント

おおよそ、修正案は似かよったものとなった。差異について言及すれば、みんなの党の修正案には第5条2項の「電力の安定供給に支障を来すおそれ」の部分の削除と発送電分離についてが入っている。共産党案は電源開発促進税の転用が主な部分だったと言える。
みんなの党の修正案は付帯決議の中である程度カバーされたと言える。しかし特に接続拒否の条項については政省令レベルで行われると思われるが、基準の明確化を如何にしていくかは国会でこれだけ審議をされていたとしてもまだ疑問は残る。参議院でもしっかり議論していただきたい点である。
 

2. 衆議院本会議に関して

13時からの衆議院本会議で子ども手当改正法案の採決の後に田中慶秋経済産業委員長が経過説明を行った。討論を行わず、すぐ採決が行われ、「再生可能エネルギーの調達に関わる特別措置法(FIT法案)」は全会一致で、「電気事業法とガス事業法の一部を改正する法案」は賛成多数で可決され、参議院に送られた。


3. 衆議院の審議を通しての傍聴人コメント

衆議院における審議を通してみれば、これまでの議論から大きく変化したといえる。具体的には、買取価格の設定に関して、一律から電源種・規模ごとによる設定へと変わったことは大きな進展である。また、買取価格の決定に関して、経済産業大臣および経済産業省のみが検討する権限をもつ流れにあったが、国会や他省庁の関与が盛り込まれたことも評価に値する。これらの点について、政府原案よりは改善が見られたといえる。
しかしながら、第5条2項の「電力の安定供給に支障を来すおそれがある場合」買取を拒むことができるとした条項は、依然として懸念材料として残っている。これまでの審議を通しても、電力会社が恣意的に買取を拒むことができる可能性があり、自然エネルギー事業者の新規参入が阻まれることを懸念する議員もいる。この条項は削除するか、もしくは拠証責任を電力会社に求めるような規定を付加する必要がある。
参議院で拙速な議論が進められようとしているが、政局に流されず、中身のある審議をすべきである。ISEPも必要に応じてアクションをとっていきたい。
 
(執筆者:山下・道満)
 
4. 今後の予定

8月24日(水)
 10:00- 本会議
 13:00-17:00 経産委員会
 
8月25日(木)
 10:00-12:00 経産・環境・農水連合審査会
 13:00-17:00 経産委員会
 
8月26日(金)
 10:00- 本会議(予定)
 
※傍聴に際しては、参議院議員を通じて経済産業委員会委員長の許可を受ける必要があります。


5. 今後の予定

次回ニュースは第一回の参議院経済産業委員会での審議内容についての配信を予定しております。
 

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